「じゃ、さりげなく抜け出そう」
会場の盛り上がりは最高潮で、これだけ騒がしければ、私たち二人が抜け出してもほとんどバレないだろうと思いました。
服を整え、トイレのドアを開けると、そこには高校時代、委員長をやっていた、真面目系女子が立っていました。
あ、ヤバいかも……と一瞬固まってしまいました。
委員長は目をまんまるくして、
「あなたたち、なんで二人でトイレに入ってるの~~!」
と叫びました。
幸い、店内のざわめきにかき消されましたが……。
「逃げるか」
Sくんはそう言うが早いか、私の手をとって走り出しました。
会場の人ごみの中をすり抜けて、二人で会場のドアから飛び出しました。
会場を出てからもしばらく走っていましたが、Sくんが、
「うわ、やべぇ! くらくらする」
と、走るのを止めました。なんだか可笑しくなって、一緒に笑いました。
Sくんと私は、すぐそばにいたタクシーに乗り込みました。
二人の夜
パネルで選ぶ部屋、チカチカ点滅している部屋のナンバー、なによりも、Sくんと二人でラブホテルに入ったという事実。どれも刺激的すぎて、ドキドキが止まりませんでした。心臓の鼓動がSくんに聞かれてしまうのではないかと、気になるほどでした。

おすすめの記事